かないの塒

日々の生活のなかで、気づいたこと、感じたことなどを書いていこうと思います。

コロナだったからこそ・・・

辻村深月さんの「この夏の星を見る」を読みました。

 2020年のコロナ禍での中高校生を舞台にした物語。緊急事態宣言で、休校やソーシャルディスタンスで、今まで当たり前だったことができなくなった。それは、学校生活において、行事であったり、部活動であったり。日常の「当たり前」がいかに尊かったのかということに気づき、中高生が悩んで、悔やんで。でも、遠く離れた生徒が「スターキャッチコンテスト」を通じて、繋がっていく・・・。

 この物語は、確かに中高生が中心なのですが、その時その時で、先生たちが生徒を支える姿があり、とても素敵だなぁとも思いました。また、何を大切にするのか、世間体んなのか、子どもの未来なのか・・・、「その人の哲学」の価値を感じました。そして、多様で多数の人との出会いによって、その時代をしっかりと生き抜くことができるなぁ・・・・。

 結構厚い本でしたけれど、あっという間に読めてしまいました。2020年は、私は中学2年生に所属しており、4月は休校、6月から分散登校、運動会もできず、合唱もできず・・・、行事はオンラインでの実施・・・。色んなことが制限されたなぁ・・・ということも思い出しながら読みました。そういえば、私自身は、コロナだったからこそ、職場以外の人との交流をすることになり、自分の進むべき道が見えてきたんですよね・・・。悪いことばかりではなかったと思っています。

 

素敵な言葉が結構ありましたので記録しておきます。

 ○星の知識とか、望遠鏡作りとか、確かに今すぐ学校の勉強に結びつくってわけじゃないけど、それ知っている綿引先生とか、すごく楽しそうだし、ああ、なんか別に何かのためとか、目的なんてなくてもいいのかなって

 ○どんなこともそうだけど、始めたはいいけど、やめるときってホントに自分でやめるしかない。

 ○それぞれの場所だからこそ、学ぶ内容が違ったり、同じ知識でも接する近さが違ったり、みんなくらいの年でそれに気づけるのはすごく羨ましい。そういう経験は興味の幅を広げる。

 ○違う環境で育った、それぞれの国や地域の歴史を学んできた人との対話は、びっくりすることも多いし、新しい視点を持つのに本当に役に立つ。

 ○コロナの年じゃなかったら、私たちはこんなふうにきっと会えなかったから。どっちがいいとか悪いとか、わからないね。悪いことばかりじゃなかったと思う。

 ○こちらがそんなことを教えなくても、きっと、あの子たちには伝わりますよ。大人がそんなこと言葉にして押し付けなくても。

 ○だけど彼らの時間がまるごと何もなかったのかのように言われるのは心外です。子どもだって、大人だって、この1年は一度しかない。きちんとそこに時間も経験もありました。