かないの塒

日々の生活のなかで、気づいたこと、感じたことなどを書いていこうと思います。

断絶への航海(その1)

「断絶への航海」を読み終わりました。約550ページの大作です。内容は、とても深く、人間愚かさと可能性について考えさせられました。

 登場する「ケイロン人(地球人のDNAを持っていて、機会に育てれた)」の社会」、は、「通貨」はなく、お互いの「尊厳」が通貨にとって代わっている。ケイロン人には「富」という発想そのものがなく、すべての「モノ」は無尽蔵にあるから無価値、つまり「タダ」。だから取り合いにもならないし、競争にもならない。自分の才能を生かして好きな仕事をし、他人の為に尽くす。まさに人としての「幸福」がその惑星に存在していたのです。ところが、その世界に古い慣習や偏見・差別に囚われた地球人が後から移民してきます。彼らの中には、戸惑いながら、この世界に適応しようとする者もいれば、変化を恐れる人もいる。後者の人々は、軍事力によるケイロン支配をしようとするが、逆に滅びてしまいます。

 恐怖や力で社会を押さえつけるといつか崩壊してしまう。この物語に出てくる一部の地球人の愚かさを感じた。しかし、上意下達の階層組織などまったくない、それでうまくいっているケイロン人の社会のよさに気づいている地球人もいるんですね。工業化社会からなかなか脱却できない自分自身を重ねて、理想的な社会を人間は目指すことはできるのだろうか?と考えながら読破しました。

 しかし・・・登場人物多いなぁ・・・・。